006

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冬馬
「うっぐ、ぁぁぁっ」

掠れた声が漏れた。 指とは比べ物にならない質量が無遠慮に押し入ってくる。
身体がミシミシと悲鳴をあげているようだった。
痛みとひり付くような痺れが下半身を満たす。

(痛くしないって、言ったのに)

冬馬
「が、ぁ、っいた、痛い……!痛い、いやだ、いやだ」

必死に腕をばたつかせてもがくが、腰回りを両腕で掴まれている状態ではそんな抵抗も意味を為さなかった。
足を動かせば、貫かれた部分が裂けてしまいそうな気がして怖い。

エイト
「大丈夫だって。暴れると余計に痛いよ?」

冬馬
「っひィ!」

エイトが、なだめるように背骨に沿わせて指を滑らせる。
ぞわりと肌が粟立つ感覚に、更なる恐怖を覚えた。

エイト
「お、敏感。
 まぁ慣れだよ、慣れ。もうちょっと頑張ってみ?」

冬馬
「む、無理……
 抜いて、ごめ、怖いから、抜いて」

エイト
「だーめ」

冬馬
「っい、いぃ!?」

内壁を割り開くように、エイトが腰を押し進めてきた。
大量に注入されたローションの滑りを借りて、ずぶりと侵入が深くなる。

冬馬
「あが、ぁっ、痛い、いた……っ」

エイト
「言うほど痛くないっしょ。
 めっちゃグジュグジュいってるし。いっぱいローション入れといて良かったね」

冬馬
「だめ、ぬい、抜いて」

エイト
「抜かないしー。
 俺アナルセックスって初めてなんだけど、けっこー気持ちいいわ。ナカ」

冬馬
「うぐっ、う……ひっ、ひぐ」

相手に支配されているという恐怖感と、良いようにあしらわれている屈辱に涙がこぼれた。
好き放題にされて泣き出すなんて、みっともなくて恥ずかしい。まるで子供だ。
そう思うのに、一度緩んだ涙腺は次々と涙を吐き出して止まらなかった。

エイト
「いーね、なんかレイプっぽーい。
 燃えてきちゃうな、と!」

腰を抱きかかえるように引き寄せられたと思った瞬間、根本まで一気に貫かれる。
引き裂かれるような衝撃に、思わず悲鳴が漏れた。

冬馬
「ああ、あぁぁ!?」

エイト
「く〜、キッツ……トーマ君ちょっとゆるめてくんね?千切れそう」

冬馬
「あぐ、う、ひっ」

(怖い……怖い、こわいこわいこわい!)

蹂躙される。
身体を割り開かれて、好き放題に扱われる感覚。
今まで経験したことのない恐怖に襲われて、冬馬は混乱していた。
恥も外聞もなく、声を上げながらめちゃくちゃに腕や頭を振るって逃げ出そうともがいた。

冬馬
「やだ、やだやだやだ、抜いて、怖い!
 もうやめる、やめるから!やだ、こんなの嫌だぁぁ!」

エイト
「っおい、暴れんなって!」

冬馬
「放せ、うっぐ、もう、やめる!
 かえ、帰る、から!も、いい、から」

エイト
「はあ?」

今まで茶化すような、なだめるように優しげだったエイトの声色が変わった。

エイト
「ふざけんなよ、ここまで来といてやめるはねーだろが」

冬馬
「いっ」

頭髪を掴まれ、無理矢理に顔を上げさせられる。
まるで恋人にするそれのように、冬馬の耳元に唇を寄せてそっと囁いた。

エイト
「金欲しくて身体売ったくせに」

冬馬
「……!!」

エイト
「お金、貰えなくてもいーんだ?」

冬馬
「……あ」

冬馬
「…………」

冬馬
「……ごめ、なさい」

エイト
「大人しくしてれば、優しくしてやるよ」

冬馬
「…………」

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